私たちは一人ひとりが、多様な価値観にひも付いた「自分らしさ」を持っています。近年ではダイバーシティ&インクルージョンなど、多様性の理解・尊重を促す思想の広まりに伴って、私たちがそれぞれに自分らしくくらすための選択肢は、徐々に増えてきているように感じます。
一方で、選択肢が増えさえすれば、一人ひとりの自分らしさは十分に尊重されるのかと問われると、一概にそうとも言えません。SNSの発達などによって、くらしの中で自分らしさを表現する機会が増えた反面、顔も知らない他者の存在に影響を受け、自分らしさが揺らぐような機会も同様に増えたのではないでしょうか。
では、他者からの影響さえ排除すれば、自分らしさを取り戻すことができるのか……これもまた、そう言い切ることは難しいと思います。他者からの影響を受けて自分らしさがポジティブに変容することもあり得ますし、周囲への配慮を含めて表現することが自分らしいと感じる瞬間は、きっと少なくないはずです。
こうして考えていくと、自分らしさの中には「他者や社会による抑圧から守り尊重する自分らしさ」「他者や社会とのいい関係で育まれる自分らしさ」という相反する要素があることが見えてきました。
他者と交わることも大事だけど、交わりすぎないことも必要……そんな矛盾をはらんだ「自分らしさのバランス」をどのように捉えれば、心地よい日々を過ごせるのでしょうか。この特集では、編集部員がさまざまな観点から「自分らしくくらすための問い」を探究していきます。
みなさんは、ご自身の「自分らしさ」をどのように見つけ、大切にしていますか。今後、自分らしさを大切にするためにやっていきたいことはあるでしょうか。ぜひ「#自分らしさの現在地」をつけてつぶやいてみてください。
